Letter No.50 魂を鍛える

 

ああ、行ってしまった

0714発高尾山行き下り各停電車は

無慈悲にも僕とぶぶを駅のホームに残したまま

走って行った


人のいなくなったホームに佇むスーツ姿の僕と

ベビーカーでチューチュー指を吸い続ける息子

下り方面ということもあり

次は15分後まで電車がない


まだ使い慣れない保育園連絡アプリで

先生に予定より遅刻する旨、謝りの連絡を入れた


息子が生まれて半年が経った

育休も経て少しだけ成長したつもりでいたが

父親業はまだまだ失敗の連続だ


特に猛反省すべきは

息子にかかりきりになって余裕を無くし

母ちゃんを十分大切にできていなかったことだ


育休中は自分が仕事をしていないことの焦りと

慣れない家事や子育てで

時には必要以上に強く当たってしまった


なんと器の小さい男だろう


結婚した時

息子ができても母ちゃんを一番大切にすると

約束したことを思い出した(その旨を書いた手紙が発掘された)


自分はまだまだ人間として成長しなければならない

ぶぶが僕に成長するチャンスを与えてくれたのだ

自分の殻を一つ破って

小さな器を少しでも大きくしなくては


自分が頑張ろうとすると

「無理しなくていい」と

優しい言葉をかけてくれる人たちが

たくさんいる


とても有難い言葉だ

確かに無理はする必要はない

自分の過去の失敗から

「無理は遠回り」となり得ることを

痛感している


しかし人生には勝負の時というものがある

自分は生まれて今までに

何かに自分の才能を感じたことはないが

なんとなく勝負の時にはアクセルを踏める(ような気がしている)

(そして、だからこそ、そうでないときはとことん手を抜く)


そして

今はその勝負の時であるような気がしている


それはキャリアとして飛躍するとか

特定の能力を大きく高められるとか

そういうことではなく


新しい命を授かり、

異なる価値観を獲得し、

これまでと全く異なるリズムで職場に復帰し

日々新しい挑戦に悪戦苦闘する中で

魂をタワシでゴシゴシ磨かれている感覚である


タワシは痛いのだけれど

そんなものに負けるか、と反骨精神も湧いてくる

今はブレーキに足を置くのではなく

踏ん張ってアクセルをふかす時なのだと思う


8月7日はぶぶの6ヶ月記念日だった

ミーハーな僕もそも「ハーフバースデー」をお祝いしようと

下手くそながら離乳食でケーキっぽいものを作った


ぶぶはご機嫌になり

最後には自分の手をケーキの中に突っ込んで

ぐちゃぐちゃにしながら嬉々とした声を上げていた


放っておくと机や床が離乳食でベタベタになるので

動き回るぶぶの腕をタオルで拭こうとしたら

自分の顔や服まで離乳食でベタベタになった


これも一つの試練なのだ

こうした課題を一つ一つクリアして

僕の魂はきっと磨かれて

人間として成長していくのだ


皿の上で崩壊していくトッピングと

離乳食の汁でしめり始めた服を見つめながら

そう自分に言い聞かせた


ゆっくりアクセルを踏んでみよう


そしてできれば運転中も

移りゆく周りの景色を楽しみ

助手席のパートナーと会話を楽しめる


そんな余裕のある父ちゃんに

なれたらそれに越したことはないだろう




おしまい。


P.S ブーブーレターも50話目となった。自分の育休が終わってしまい、これまでのようなペースでは書けないかもしれないが、可能な限り書き続けてきたいと思う。ぶぶに宛てて綴るレターのつもりで書いているが、自分自身との会話でもあり、楽しく書かせてもらっている。いつかぶぶが読んでくれるのが楽しみである。










































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