Letter No. 47 恵比寿の思い出

 

夕方5時過ぎ

山手線恵比寿駅のホーム

夏の熱気と人混みの匂い


せっかくベビーカーに装着したのに

電池が切れて動かない扇風機は

単なる「重り」と化した


我が家のぶぶさんは

大好きな扇風機が機能停止したことへの

怒りを露骨に示しながら

この暑さの中「抱っこ」を

要求し続けている


ホームのエレベーター待ちの

列に並んだ十代くらいのカップルの

浴衣の帯の後ろには

駅前で配られたであろう

広告付きのウチワが刺さっている


駅から出ると

ビールとアスファルトが混ざった匂いが

もわっと顔を包み込んだ


ぶぶを覗き込んで確認するが

なんとか持ち堪えている


「何見てんだよ

横断歩道の信号青だぞ はよ歩け」

そう言わんばかりの顔だ


駅を出て横断歩道を渡ると

左手に盆踊りの大きな櫓が見えた


その周りを一面にピンクの提灯が踊る

音楽がなって

大人や子供がどんどん集まってきた

日本の夏のど真ん中だ


友人のマンションからは

遠くの隅田川の花火が見えた

恵比寿ビールを片手に

大学来の友人たちと語らい合う


ぶぶは初めて遭遇する

ほぼ同じ月齢の男の子「るいるい」に興味津々で

友人宅に着いてからは終始ご機嫌であった


十数年来の友人たちと

昔話や将来の夢について話が弾んだ

いつの間にかぶぶは

父ちゃんの肩の上で涎を垂らしながら寝ていた


「るいるい」との出会いと

美味しそうなご飯と恵比寿ビールの香り

遠くの微かな花火の音と大人たちの笑い声

ぶぶは一体どんな夢を見ているのだろうか


そう思っていたら

パパに抱かれたるいるいとふと目があった

まんまるお目目でにっこりしてとっても可愛い


「あんたじゃないよ

あんたの肩で寝てるその子と

もっと遊びたいのよ」


そう言ってる気がした


ぶぶが次に「るいるい」と会うのは

どれくらい先になるだろうか

その時はお互いどれくらい成長しているかな

二人の今後がとっても楽しみだ


外もどんどん暗くなってきたので

他のメンバーより少し早めに失礼した


建物の外に出て再びもわっとした暑さに包まれると

駅の方からどんちゃんどんちゃんと

盆踊りの東京音頭が聞こえてきた


ベビーカーを押して道を歩いていくと

浴衣を着て楽しそうに談笑する

家族連れ何組かとすれ違った

我が家のぶぶは相変わらず爆睡している


家に帰ったら

友人の一人からもらった

赤ちゃん用甚平さんを

早速ぶぶに着せてみよう



おしまい。








































Comments

Popular Posts