Letter No.11 噴水

 


轟々と水しぶきが上がる


10年前の8月

太陽がジリジリと照りつける

米国南部フロリダ州で

僕は一人旅をしていた


とにかく茹だるような暑さで

人生で初めて

見せる筋肉もないのに

上半身裸の状態で

水を求めてを歩いていた


全く同じ姿形の一軒家と

ガジュマロのような並木が延々と連なる

その真ん中をぶち抜いた

6車線の道路の脇を

30分以上は歩いていたと思う

蝉がジャージャー鳴いていた


汗水を垂らして坂を登り

少し下ると、海の匂いがする

海辺に小さな公園があった

とにかく水がほしかった


公園の端っこに

ドラム缶を円状に並べたような石のモニュメントがあった

なんだろうと近くに寄ってみる

石はチンチンに熱くなっている


次の瞬間

ボボボボと音がなり

8つ並んだそれぞれの石から

ごうっと勢いよく水が出たのである

目の前を水しぶきがキラキラと舞う

スローモーションのようだ


あぁ 水が舞っている

あれ 少しなま暖かい

僕の視線の右下から左上に

放物線状に

水しぶきが舞っているのだ


ぶぶ・・・・


さっき洋服とオムツ変えたばかりなのに!



もう50回以上はかけられたであろうか

うち20回は顔で受けさせていただいている

狙ってか

ぶぶは父ちゃんに対して噴射することが大好きだ


出た瞬間を捉えることができるならラッキーだ

速やかに片手で軌道にカットインし

その隙にタオルかティッシュで蓋をすることができる


しかし

ぶぶは決まって

父ちゃんが別のことをしている時を狙う

お尻拭きを取ろうと手を伸ばす瞬間や

風呂上がりに保湿剤を塗っているときなんかだ


あんまり綺麗な弧を描くので

一瞬見とれて対応が遅くなることがある

そうすると

ぶぶ自身もダメージを負うので

「おい何やっとんじゃ」と

後で辛辣なクレームを受けることもある


そんなこんなで格闘していたら

先日母ちゃんから

先にティッシュやタオルで蓋しておけばいいじゃんと

言われた


そうだ

父ちゃんはなんで間抜けなんだろう


もう二度とかけられるもんか

そんな思いで臨んだ昨晩

荒野の決闘ならぬ

おむつ台上での

二人の男たちの格闘である


バスタオルでぶぶの水気をしっかりとった後

下半身を解放するやいなや

目にも止まらぬ速さで

お尻拭きを1枚箱から抜き取り

やつに蓋をした


これなら絶対大丈夫 

なんだ 

こんな簡単なことだったのか


安心してぶぶの体に保湿剤をぬりぬりする父ちゃん

これでも食らえとばかりに

手をぬりぬり 足をぬりぬり

背中をぬりぬり、顔をぬりぬり

お腹を・・・・


あれ、お腹の横に小さな水溜りができてる


あ、蓋がずれていた


ぶぶは舌を出して笑っている



噴水をめぐるぶぶとの闘いは

まだまだ続きそうだ


おしまい。













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