Letter No.23 アザーン

 


ウェイ

ウォーイ

ウーウー

キャキャ

ウーウ

オォーイ

アムアムアム


僕の朝活は

朝4時半から始まる

言葉の発声のお勉強である


父ちゃん曰く

イスラム教の国で

朝一番の夜明け前にモスクから流れてくる

リズムに乗ったお祈り

「アザーン」が思い起こされるそうだ


お腹と喉に力を入れて

言葉にならない声を出す

これがまた楽しい


声を出そうとすると

全身にも力が入るので

自動的に手足も動いてしまう


睡眠用おくるみ袋に包まれた

足をビヨーンと天高く突き上げ

右へ左へゴロンゴロン


手を蝶々のようにバタバタさせて

今朝もまた天井に向かって叫ぶ

ウォーイ

ウーウーウー

アムアー

ンーンーンーンァ


そうしていると

父ちゃんから横槍が入る


「ぶぶーもうちょっとねんねしたらぁ

ぶぶー何したいのぉー

まだ4時だよー(ぶぶ注:もう4時45分である)」


そんなことを言いながら

眠そうに僕の口にボボをツッコミ

声を封殺しようとする


チュパチュパチュパ

しばらくはボボを吸って安心させてやるが

父ちゃんが寝息を立てるや否や

もう一度発声練習を始める


父ちゃんの眉間に皺が寄る

ぷいと向こう側に寝返りを打って

しばらく僕を無視しようとする


ムカつくので

少しボリュームを上げて

発声練習を続ける


そうすると

横で寝ている母ちゃんの目線が怖いのか

しぶしぶまたボボを口に突っ込みに来る


僕ら3人家族の日々のルーティーンとして

母ちゃんが夜遅くに僕にミルクをくれ

父ちゃんが朝の当番を任されている


しかし

父ちゃんは最近サボっている

自分の数眠時間を確保しようとしているのだ

だから僕の発声にも一層熱が入る


ウェイ(おい)

ウォーイ(父ちゃん)

ウーウー(そろそろ起きろ)

キャキャ(ミルクの準備だ)

ウーウ(二度寝するな)

オォーイ(あんた口からよだれ出てるぞ)

アムアムアム(早くしろ)


時計の短針が5時を指す

あ、ついに見かねた母ちゃんが

父ちゃんに声をかけた


「んぁっ 5時かぁ」

と言って勢いよく布団を蹴り上げ

「ヨォシヨシヨシ」と変な奇声を上げた


この行動は父ちゃんお得意のあれだ

母ちゃんに「仕事してる感」を

アピールしているのだ

きっといつも職場でもやっているのであろう


膝と腰を曲げながらフラフラと

父ちゃんが立ち上がる

そして半笑いを浮かべながら僕の顔を覗き込む


「おはよ ぶぶ」

ボサボサの頭で眠そうに話しかけてくる


満面の営業スマイルで

父ちゃんを見つめる

可愛いと思わせれば勝ちだ

ウォーイ アアアァ(もう5時10分だぞ 早くミルク作れ オムツ変えろ)


「ん〜笑ったの、笑ったの、かわいいね。おっきしようね。」

ンーウーウー(もうとっくにおっきしとるわ 早く仕事しろ)


そんな会話をしばらく続けた後

父ちゃんはウォーキングデッドのように

半分瞼を閉じたまま

哺乳瓶とお湯を求めてキッチンに向かう


あ と思いきや

僕のオムツ変える前に

先に自分の用を足しにトイレに行きやがった

さらに3分間のロスではないか


ため息をつきながら

怒りの鉄拳を食らわせるために

「アザーン」を特大ボリュームで再開する

この波動レベルであれば

お隣さん宅にもきっと届いてしまっているだろう


見かねて母ちゃんが起きた

昨夜も遅かったから

かわいそうだけど仕方がない

父ちゃんがぐずぐずしているからだ


ウグァー(あほ父ちゃん)

アーウーウー(早くトイレから出てこーい)



おしまい。





























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